はじめに:「うちの会社、次どうする?」その悩み、地図があれば解決できるかも!
「最近、売上が伸び悩んでるな…」「何か新しいことを始めたいけど、何から手をつければいいんだろう?」
会社の規模に関わらず、多くのビジネスパーソンが一度は抱えるこの悩み。未来への道筋が見えないと、不安になりますよね。
そんな時に役立つのが、今回ご紹介する「アンゾフの成長マトリクス」です!
なんだか難しそうな名前ですが、心配ご無用。これは、会社の未来を考えるための、いわば「魔法の地図」のようなもの 。たった2つの質問、「何を売るか?」と「誰に売るか?」を軸に、会社が進むべき4つの冒険ルートを示してくれます 。
この記事では、この最強の思考ツールを世界一わかりやすく解説します!読み終わる頃には、あなたも会社の未来を描く冒険家になっているはずです。
第1章 このスゴい地図、誰が作ったの?「戦略の父」アンゾフさん登場!
この便利な地図を作ったのは、イゴール・アンゾフさん(1918-2002) 。ビジネス界では「戦略的経営の父」と呼ばれる、まさにレジェンドです 。 イゴール・アンゾフ – Wikipedia
実はアンゾフさん、もともとは経営学者ではなく、数学と物理学の天才 。キャリアの初期には、なんと軍事作戦を分析するシンクタンクで働いていました 。そこで培った「不確実な状況で、どうすればベストな判断ができるか?」という論理的な考え方を、ビジネスの世界に持ち込んだのです。
1950年代、多くのアメリカ企業がイケイケドンドンで新しい事業に手を出しては、失敗していました 。そんな様子を見たアンゾフさんは、「もっとちゃんと計画を立てようよ!」と考え、1957年にこの「成長マトリクス」を発表したのです 。
つまりこの地図は、軍事レベルの分析力と数学的な思考力から生まれた、超ロジカルなツール。だからこそ、60年以上経った今でも世界中のビジネスパーソンに愛用されているんですね。
第2章 地図の見方をマスターしよう!4つの冒険ルートとは?
アンゾフの地図はとってもシンプル。たった2つの軸でできています 。
- 横軸:製品(何を売るか?)→「いつもの商品」か「新しい商品」か
- 縦軸:市場(誰に売るか?)→「いつものお客様」か「新しいお客様」か
この組み合わせで、会社の成長戦略は4つの冒険ルートに分けられます 。
- 市場浸透戦略(ホームグラウンドでレベルアップ作戦): いつものお客様に、いつもの商品をもっと買ってもらう!
- 新市場開拓戦略(自慢の武器で新大陸へ!作戦): いつもの商品を、新しいお客様に届けに行く!
- 新製品開発戦略(いつもの仲間と新兵器で勝負!作戦): いつものお客様に、新しい商品を開発して売る!
- 多角化戦略(未知の世界で新装備!ハイリスク・ハイリターン作戦): 新しいお客様に、新しい商品を届ける!
この地図で一番大事なポイントは、右下に行けば行くほど、冒険の難易度(リスク)が上がっていくこと 。まずは自分の会社のレベルや体力に合わせて、どのルートから挑戦するか考えるのがセオリーです。

表1:4つの冒険ルート比較!どれを選ぶ?
| 冒険ルート | 目的 | 難易度(リスク) | 必要な装備(成功の鍵) |
| 市場浸透 | 今いる場所でシェアUP! | ★☆☆(低い) | 宣伝・キャンペーン、お得意様サービス |
| 新製品開発 | お得意様にもっと喜んでもらう! | ★★☆(中くらい) | アイデア力、開発力、顧客の声を聴く力 |
| 新市場開拓 | 新しいファンを見つけに行く! | ★★☆(中くらい) | 調査力、営業力、新しい場所への適応力 |
| 多角化 | 全く新しい宝を探しに行く! | ★★★(高い) | たくさんの資金と人材、M&Aの知識 |
第3章 4つの冒険ルートを徹底攻略!
さあ、それぞれのルートを具体例と一緒に見ていきましょう!
3.1 市場浸透戦略:ホームグラウンドでレベルアップ作戦!
これは、一番安全で、まず最初に考えるべき基本の作戦 。今いる市場で、今ある商品の売上を伸ばす方法です 。
攻略法は?
- もっと宣伝する!: CMやSNSで商品の魅力を伝えまくる 。コカ・コーラの「リボンボトル」みたいに、つい買いたくなる仕掛けも有効です 。
- お得感を出す!: マクドナルドの「朝マック」や「バリューランチ」のように、セット割引や時間限定メニューで「今買わなきゃ損!」と思わせる 。
- ファンを増やす!: ポイントカードや手厚いアフターサービスで、「またここで買いたい!」と思ってもらう 。
注意点: この作戦は、市場が飽和状態(みんなもう持ってる状態)だと効果が薄くなります 。ライバルとの値下げ合戦に巻き込まれて、消耗してしまう危険も 。
3.2 新市場開拓戦略:自慢の武器で新大陸へ!作戦
自慢の商品を、今までとは違うお客様に届けに行く作戦です 。
攻略法は?
- 場所を変える!: 関東だけで売っていたものを全国展開したり、日本から海外へ進出したり 。
- 相手を変える!: 作業服の「ワークマン」が、機能性の高さに着目して女性やキャンパー向けに売り出したら大ヒットしたように、ターゲットを変えてみる 。昔、男性向けだった「シーブリーズ」が女子高生向けにシフトしてV字回復したのもこの例です 。
注意点: 新しい場所や相手のことをよく知らないと失敗のもと 。「郷に入っては郷に従え」で、徹底的なリサーチが成功のカギです 。
3.3 新製品開発戦略:いつもの仲間と新兵器で勝負!作戦
いつも買ってくれるお得意様のために、新しい商品を開発する作戦です 。
攻略法は?
- パワーアップさせる!: 今ある商品を改良したり、新しい機能を追加したり 。
- セットで便利なものを出す!: AppleがiPhoneユーザーのために「AirPods」を作ったように、一緒に使うと最高!な商品を開発する 。
- 悩みを解決する!: 味の素が「油も水もいらない冷凍ギョーザ」を開発したように、お客様の「ここが不便なんだよな…」という声に耳を傾け、それを解決する商品を作るのが大成功の秘訣です 。
注意点: 開発にはお金と時間がかかります 。せっかく作ったのに「いや、これじゃないんだよな…」とお客様にソッポを向かれないよう、ニーズをしっかり掴むことが超重要です 。
第4章 最難関!多角化戦略の地図を読み解く
さあ、いよいよ最も難易度の高い「多角化戦略」です。これは、全く新しい市場に、全く新しい商品を投入する大冒険 。会社の未来を賭けた挑戦と言えるでしょう。
でも、「多角化」と一言で言っても、実は中身は4種類に分かれています。これを理解するのが、冒険の成否を分けるポイントです。
表2:多角化の4タイプ!どれで行く?
| タイプ | キャッチコピー | どんな作戦? | 具体例 |
| 水平型 | 得意技をちょっと応用! | 持ってる技術を活かして、似たような新商品を出す。 | 自動車メーカーがバイクを作る。 |
| 垂直型 | 川上から川下まで、全部やる! | 部品作りから販売まで、自分たちで一貫して行う。 | アパレルブランドが自社工場を持つ。 |
| 集中的 | 秘伝の技術を、意外な分野で! | 自社のコア技術を、全く新しい市場で活かす。 | 富士フイルムが写真技術を化粧品に応用。 |
| 集成的 | 全くの畑違いにジャンプ! | 今までと全く関係ない分野に、ゼロから挑戦する。 | 建設会社が介護施設を運営する。 |
奇跡の大変身!富士フイルムの「集中的多角化」
多角化の最高の成功例が、富士フイルムです。デジカメの登場で、本業の写真フィルム市場が消え去るという絶体絶命のピンチ!しかし彼らは、自分たちの技術を徹底的に見直しました。
すると、「写真フィルムの主原料のコラーゲン研究」や「色あせを防ぐ抗酸化技術」が、なんとお肌のアンチエイジングに応用できることを発見! この「秘伝の技術」を武器に化粧品という新市場に乗り込み、大成功を収めたのです 。これは、自社の本当の強みを理解していたからこそできた、奇跡の大逆転劇でした。
手を広げすぎると…RIZAPの教訓
一方で、多角化には大きな落とし穴もあります。パーソナルトレーニングで成功したRIZAPは、その勢いでアパレルや出版など、本業と関連の薄い会社を次々と買収しました 。
しかし、それぞれの事業のノウハウがなく、シナジー(相乗効果)も生まれなかったため、業績が悪化 。結果として、「結局、何の会社なの?」とブランドイメージまで曖昧になってしまいました 。これは、最も難しい「集成的多角化」に、準備不足のまま手を広げすぎたための失敗例と言えるでしょう。
第5章 魔法の地図を使ってみよう!
この地図は、眺めているだけでは宝の場所はわかりません。実際に使ってみましょう!
冒険の進め方 4ステップ
- STEP1: 自分たちの現在地を知る
- まずは自分たちの会社の「強み」と「弱み」を正直に書き出してみましょう 。そして、世の中のトレンドやライバルの動きもチェックします 。
- STEP2: 4つのルートを考えてみる
- 「うちの技術を使えば、こんな新商品が作れるかも?」「この商品を、あの人たちに売れないかな?」という感じで、4つのルートそれぞれで、できそうなことを自由にアイデア出ししてみましょう 。
- STEP3: どの冒険に出るか選ぶ
- 出てきたアイデアを、「成功しそうか?」「儲かりそうか?」「うちの会社らしいか?」といった視点で評価し、一番ワクワクする冒険を選びます 。
- STEP4: 冒険の計画を立てる
- 選んだ冒険を成功させるための具体的な計画(誰が、いつまでに、何をするか)を立てます。そして、冒険が始まったら、時々地図を見直して、順調に進んでいるかチェックするのを忘れずに !
デジタルという名の「魔法の道具」 この古い地図は、現代のテクノロジーと組み合わせることで、さらにパワーアップします!
- Eコマース(通販サイト)があれば、昔よりずっと簡単に「新市場開拓」ができます 。
- 顧客データを分析すれば、「市場浸透(お得意様への追加提案)」や「新製品開発(お客様の隠れたニーズ発見)」の精度が格段に上がります 。
結論:地図は一度見たら終わりじゃない。冒険は続く!
アンゾフの成長マトリクスは、会社の未来を考えるためのシンプルで強力な「魔法の地図」です。
この地図が教えてくれるのは、たった一つの正解ではありません。自分たちの現在地と目指すゴールに合わせて、4つの冒険ルートから最適なものを選ぶための「考えるキッカケ」です。
そして一番大切なのは、この地図を定期的に見直すこと 。市場やライバルの状況は、どんどん変わっていきます。一度決めたルートが、ずっと正しいとは限りません。
ぜひ、あなたのチームでもこの地図を広げてみてください。「僕たちはどのルートに進むべきだろう?」そんな風にみんなで未来を語り合うことこそが、会社を成長させる冒険の第一歩になるはずです。


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